Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1930年代の日本「帝国」の膨張とそれに伴う植民地支配様式の転換という動向が、日本「内地」の帝国意識のあり方とどのように影響し合うのか、また植民地統治政策が脱植民地後の旧植民地社会にどのような影響を与えたのかという問題を、植民地台湾、なかでも特に台湾先住民をめぐる諸動向に焦点をあてて考察するという目的を達成するため、本年度は、次の3つの観点から分析を行った。1、1930年代から特に活発に推進される、台湾先住民の日常生活の細部にわたるまでの「内地化」という動向の中で、日本式の教育を受けた若年層の中から、「内地化」を積極的に受け入れていこうとする「先覚者」と呼ばれる人々が登場するが、彼らが置かれた社会的位置と、彼らの行動や発想のあり方について、特に、「日野三郎」、「矢多一生」と名付けられた二人の人物に焦点をあてて考察した。2、日本の敗戦によって、台湾は「光復」し、国民党政府の支配を受けることとなるが、そのような新体制の下でも、日本統治期に「先覚者」と呼ばれた台湾先住民は、知識人として、共同体内部で大きな社会的役割を果たしていくことを、上述の二人に即して、具体的に明らかにした。3、その上で、その後の二二八事件、五〇年代白色テロルの時代に、彼らがどのような行動を選択し、そのことが最終的にどのような結果をもたらすのかという観点から、東アジアにおける植民地主義と冷戦構造の関連性について考察した。
All 2006
All Journal Article (1 results)
南山大学日本文化学科 論集 第6号(刊行予定)
40015274898