Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、一般に「最後の中華王朝」もしくは「満洲人による異民族王朝」として、伝統中国の文脈か征服王朝の文脈で捉えられるに終始してきた大清帝国を、中央ユーラシア世界の国家パターンの一類型として捉え直し、実証・理論両面でその統治機構・支配構造を解明するとともに、帝国統治構造モデルをあわせ提示することを目的とするものである。最終年度である本年度は、これまで2年間の研究成果を承けて、その整理と公表に重点を置いて活動を展開した。その成果は、以下のように要約される。大清帝国は、支配層に注目してみたとき、漢人とは異なる習俗・文化をもつツングース系満洲人が、生業は異なるものの文化的に親和性をもつモンゴル人と連合して建設・支配したユーラシアの帝国であるということができる。その中核をなしたのが、清一代を通じて満洲人の軍事=行政組織であった八旗制であり、その組織は、帝室アイシン=ギョロ氏のみから分封された旗王とその家臣・領民たる旗人との間の主従関係を基本としつつ、あらゆる成員を階層組織に編成するという厳格な原則と、出自・来歴を問わず編入・戦力化するという柔軟な運用とを特徴としていた。さらに帝国全体に視野を拡げれば、王公とその属下を一つのユニットとし、これが皇帝に臣従・連合するというあり方は、漢地の漢人社会を除いてむしろ普遍的であった。帝国は一面において、自己の家臣・領民を率いる首長たちそれぞれが皇帝と主従関係を結び、爵制秩序のもと序列化されて連合したものとして描き出すことができる。この多様な地域・集団を統合する皇帝は、中華皇帝・大ハーン・転輪聖王などそれぞれに対応する君主としての位置づけを有して君臨していた。以上の成果を、前史たる14〜15世紀から18世紀まで、また内陸のみならず海域世界までも視野に収めて、別記の諸論考および学会発表の形で公表し、成果還元・問題提起を行なった。
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All Journal Article (15 results) Presentation (2 results)
細谷良夫編『清朝史研究の新たなる地平-フィールドと文書を追って』山川出版社
Pages: 22-51
加藤雄三・大西秀之・佐々木史郎編『東アジア内海世界の交流史周縁地域における社会制度の形成』人文書院
Pages: 105-130
菊池俊彦・中村和之編『中世の北東アジアとアイヌ-奴児干永寧寺碑文とアイヌの北方世界-』高志書院
Pages: 105-134
東洋文化研究(学習院大学東洋文化研究所) 10
Pages: 347-372
桃木至朗編『海域アジア史研究入門』岩波書店
Pages: 116-127
大阪市立大学東洋史論集 別冊特集号
Pages: 245-270
Proceedings of the Second COE-ARI Joint Workshop"Dynamic Rimlands and Open Heartlands : Maritime Asia as a Site of Interactions "(K. Fujita (eds.))(Osaka University) 2
Pages: 224-237
平成16~18年度科学研究費補助金(基盤研究(B))「近代世界システム以前の諸地域システムと広域ネットワーク」研究成果報告書(研究代表者桃木至朗)(大阪大学)
Pages: 104-123
史学雑誌 115-9
Pages: 89-98
西洋史学 222
Pages: 77-80
史学雑誌 115-5
Pages: 266-273
満族史研究 5
Pages: 55-84
40015341325
懐徳 74
Pages: 98-99
満族史研究 4
Pages: 232-238
世界史のしおり 2005年10月号
Pages: 20-20