Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
「朝鮮林野分布図」に焦点を当てた初年度,地図以外の言説に焦点を当てた2年度に続き,本年度は,植民地期の朝鮮半島における焼畑(火田)に関する言説や表象に焦点をあてた。焼畑に注目する理由は,当時,森林破壊の主因として特に日本側から禁圧が試みられ,様々な形で表象されたためである。 具体的な作業としては,日本国内のほか,韓国の国立中央図書,国会図書館,ソウル大学図書館での史料調査を行い,(1)朝鮮総督府が1928年まで行った焼畑調査とその報告の詳細な分析,(2)京都帝国大学教授・橋本伝左衛門が主導した1928年の「火田調査」の分析,(3)その後の総督府の「火田整理」の計画および実施過程に関する基礎的な検討,(4)植民者向けに発刊された移民案内や地理ガイドの分析,(5)民間の渡航者や文筆家の手記や紀行文の分析を行った。なお本研究が進展するなかで,森林に関わる朝鮮総督府の調査が,山城をはじめとする様々な史貴調査を兼ねる面があったことが見いだされた。史料調査に際しては,この点についても留意することとした。 その結果,朝鮮総督府による林学・地理学・農学の動員の下,焼畑に対するネガティヴな知見が「科学的」に発せられたこと,そしてそれが植民地化する日本人の側だけでなく,部分的には朝鮮半島の人々にも受容され,朝鮮総督府の林野政策が支持される地盤として機能したことが確認された。焼畑が営まれる山村の現場では,火田に対する再認識や評価があったものの,「科学的」な表象が主流となるなかで,それらは劣勢とならざるを得なかった。
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