社会福祉行政における権利保障過程の変容に関する研究
Project/Area Number |
17730017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | Nanzan University (2006) Mie University (2005) |
Principal Investigator |
豊島 明子 南山大学, 総合政策学部, 助教授 (10293680)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 公法学 / 社会福祉 / 行政法 / 社会保障 / 生存権 / 福祉行政 / 介護保険 / 公私協働 |
Research Abstract |
本研究は、1990年代半ば以降から続く社会福祉法制の変容(福祉の市場化・契約化)を念頭に置くものであった。本研究を通じて、このような法制度の変容の下では、サービス利用者の権利保障過程もまた、きわめて大きな変容を遂げていることが明らかになった。 特に本年度は、昨年度に行った福祉の現状把握に基づいて、このような現状が法的にいかなる特徴を有しているのかを明らかにすることができた。この結果、権利保障過程の変容の具体的内容が解明された。それは、端的に言えば、「権利保障過程の細分化」という意味における変容である。すなわち、福祉の市場化によって多様な民間事業者が参入することが可能となり、契約化によってサービス利用者は個々の事業者との間で次々と複数の契約を締結することを通じてサービスを利用するようになったのである。こうして、サービス利用の際の法律関係は、措置制度におけるような「サービス利用者・行政・事業者」という三者間または「サービス利用者・行政」という二者間の法律関係のような単純なものではなく、複雑化・重層化することになったと言える。 また、「権利保障過程の細分化」は、サービス利用者の福祉の権利保障のための行政の役割について、再構築を迫らざるを得ない。そこで、本年度の後半には、行政の役割の具体的あり方の考察も試みた。その結果、次のようないくつかの成果が得られた。まず、第一の行政の役割として、1人ひとりのサービス利用者の権利保障過程の全体を把握することが求められることである。第二に、すでに契約化された福祉行政領域においても、常に措置権限との連続性を考慮した権限行使を行うことが求められるということである。そして第三に、万が一、行政によるサービスの廃止(民営化)が行われる場合には、事前の十分な情報提供等の手続的な適正さが求められることである。 以上のとおり、本年度は、本研究の最終年度として、権利保障過程の変容の内容を客観的に明らかにするとともに、このことを踏まえて、具体的な行政の役割のあり方について明らかにすることができた。その研究成果の一部は、本年度公表した研究論文において論じた。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)