違法の統一性に関する総合的検討:付帯私訴が実体面に及ぼす影響を中心として
Project/Area Number |
17730051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Criminal law
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 宜裕 Kyushu University, 大学院・法学研究所, 准教授 (70365005)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 違法の統一性 / 私訴 / 刑事責任 / 民事責任 / 付帯私訴 / ドイツ刑事訴訟法 / 刑事法学 / 緊急避難 |
Research Abstract |
これまでの考察から、ドイツよりフランスの方が積極的に私訴制度を活用しているという実態が明らかになったため、本年度はフランスの私訴制度を通して、刑事と民事の関係について、手続面、実体面の双方から検討を加えた。フランスでは. 一般に、刑事の民事に対する優越が承認されており,刑事判決と民事判決の間で、両者が矛盾しないようにする配慮が一定程度なされている.もっとも、この点については、時効の連帯の廃止等が行われ、刑事の民事に対する優越も緩和されつつある。また、フランスでは、伝統的に、刑法上の罪過(faute)と民法上の罪過(faute)は共通と解されていたが、近時一定の場合無罪判決と損害賠償が両立しうるとする立法が相次いでいる。この立法によって、罪過(faute)の統一性が消滅したか否かについては学説の評価が分かれるところである。また、フランスの私訴制度の特徴として、検察官が公訴を提起しない場合、私訴原告人が私訴を提起することによって刑事訴訟を開始させることができる点が挙げられる。これについては、乱訴の危険を指摘する見解も根強い。これらの点を踏まえつつ、わが国における損害回復制度を評価するならば、本制度は多くの点で不十分といわざるを得ない。同制度においては、刑事の民事に対する拘束力は原則として否定されている一方で、無罪判決の場合には同制度は利用できないとされている。この点は、当初の立法目的であった、被害者保護の観点からしても問題であろう。さらに、同制度には不当な不起訴に対する控制という役割も期待できない。いずれにせよ損害回復制度には抜本的な改良が必要である。安易な私訴制度の導入は、乱訴の危険もあり、慎まなければならない。しかし、少なくとも、現行の損害回復制度において、違法の統一性を確保しつつ、無罪判決に際しても一定の場合には、賠償(補償)を肯定する方向が追求されてしかるべきである。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)