Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は、これまでに収集した国内外の資料の整理に加え、とくに、7月にドイツ・コンスタンツ大学に赴き、追加資料の収集とコンスタンツ大学をはじめとする現地の教員等とこの問題についてのディスカッションを行い、論文執筆について有益なアドバイスを受けた。当事者の合意を基礎としており、国家裁判権等の問題を回避できる仲裁の場合には、とくに国際的な視点から議論を眺め、共通の要素を顕出する必要があるように思われる。そこで、判決等の判断の拘束力を検討する前提として、それが依拠する民事司法制度につき、各国制度の比較法的理解の深化が不可欠であるという認識のもと、とくに、英米法を背景とする学者と大陸法を背景とする学者(Murray教授(アメリカ・ハーバード大学)とシュトルナー教授(ドイツ・フライブルク大学))の共著である『German Civil Justice』(2005)を集中して読んだ。これから、大陸法系と英米法系の法の展開や特徴、そして両者の歩み寄りという民事司法についての現在の国際的状況についての示唆を受けた。とくに判決効の範囲については、ドイツ型の厳格な理解ではなく、より広くその範囲を捉える。いわば争点志向型、紛争志向型の理解が広まりつつあることを確認した(これについては、「書評」として公表した)。そのほか、収集資料の継続的な分析を行った。現在は、これらのことに基づき、本研究の全体構想をまとめ、論文執筆にとりかかっているところである。近く、若手の民事手続法研究者を中心とした研究会で報告予定であり、そこでの反応や批判をもとに、最終的に論文を完成させたい。論文は、今年度中に公表する予定である。
All 2008
All Journal Article (1 results)
民事訴訟雑誌 54
Pages: 185-193