フランス民法における「妻の法定抵当権」の立法的展開
Project/Area Number |
17730074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香山 高広 Kyushu University, 大学院・法学研究所, 准教授 (60301967)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 転抵当 / 妻の法定抵当権 / フランス民法 / フランス民事訴訟法 / ボチエ / 夫婦財産制 / 抵当権 / 抵当権代位 / フランス民法典 / 共和暦3年法 / 共和暦7年法 / トレヤール / 夫婦財産集中管理 / ヴァレット / 夫婦の平等 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、フランス法における転抵当の研究に従事した。19世紀フランスにおける転抵当の対象は、専ら、妻の法定抵当権であり、したがって、フランスの転抵当を検討することにより、妻の法定抵当権の存在意義が明らかになると考えたからである。 もっとも、1804年に成立したフランス民法典は、一方で妻の法定抵当権の存在を認めつつ、他方で転抵当を禁止するという立場を採用した。では、なぜフランス民法典がこのような立場を採用したのかが問題となる。昨年度の研究においては、フランス民法典が夫婦財産共同管理を否定した点、また「特定の原則」と「公示の原則」を採用した点などが、転抵当廃止の原因ではないかとの仮説のもと、研究を継続した。しかし、これらで転抵当の廃止をすべて説明することはできない。そこで本年度は、昨年度とは異なる観点から、フランス民法典が転抵当を禁止した理由の解明を行った。 転抵当が承認されるためには、理論的には、抵当権が抵当権の客体とならざるをえない。実際、18世紀の代表的な法律家であるポチエは、転抵当を「抵当権の抵当権」という理論で正当化した。しかし、18世紀においても、このポチエの見解は通説となることはなく、転抵当は、それが理論的に説明することができないと言うことを理由に、猛烈な批判に曝され続けた。革命期の各種草案は、この批判を受け、転抵当を採用することができなかったと思われる。そして、民法典も、革命期の草案の立場を支持し、転抵当を廃止したのである。 これらの研究の成果は、近々、「近代フランス民事法典における転抵当の処遇に関する考察」(仮)と題して、公表する。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)