Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,従来国家理性論や社会契約説と比べて注目されることの少なかった前期サラマンカ学派(c.1526-c.1576ビトリアからマンシオまで)の権力・国家論に着目し,それが近代主権国家秩序の形成に与えた影響を検討するものである。すでに前年度までに,国内外の資料調査・収集作業をほぼ終え,本研究の成果をスペイン語の単著として国立マドリード大学出版会より公刊していたため,本年度はこれらの成果を本邦の学界に還元することを目的としながら,当該研究の総括を試みた。 具体的には,これまでの研究を日本語の単著としてまとめるべく,前年度にとりかかった原稿の執筆を進めた。その際,図書購入,図書館相互貸借,資料閲覧等により,最新の先行研究をとりこむとともに,典拠確認の不足を補った。同時に,諸研究者にディスカッション・ペーパーとして著作の草稿を配布するとともに,口頭報告(別記)を行い,有益なコメントを受けた。 以上の作業により,原稿はほぼ完成し,現在出版社との間で公刊に向けてスケジュールの調整と加筆修正の確認作業を進めている。本書は,新世界問題,宗教改革,統一王朝形成といった時事問題を通じて示された前期サラマンカ学派の世俗権力観の全体像を明らかにし,そのカトリック的近代国家論の地位を検討するものである。公刊がかなったならば,「中世トマス主義の復権」程度にしか知られていないサラマンカ学派の政治理論に関する本邦で最初のモノグラフとなり,その積極的な意義が提示されるであろう。
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