Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
価格競争効果と所得効果を含む開放経済下の独占的競争の一般均衡モデルに国際間および国内の所得格差を導入し,個人レヴェルの貿易利益を分析した。貿易開始により,各財のマークアップ率は各国で低下するものの,消費される財の多様性が増大するか否かは,世界の所得分布における各国の相対的な位置関係によることを明らかにした。平均所得の低い国では消費きれる財の多様性が常に増大する一方,平均所得の高い国では消費される財の多様性が失われる可能性を示した。さらに,高平均所得国で多様性が失われるとき,当該国の各個人が貿易損失を被るか否かは,国内の所得分布における各個人の相対的な位置関係によることを明らかにした。特に,高平均所得国の低所得者は貿易利益を得るものの,同国の高所得者は貿易損失を被ることを示した。これは,高平均所得国における高所得者は財の多様性の増大を重視しているのに対して,低所得者はマークアップ率の低下を重視しているためである。最後に,さまざまな所得分布のパラメータの推定値や各国の一人あたりGDP・人口のデータを用いることにより,財の多様性の変化・各財のマークアップ率の変化による貿易利益・損失の大きさを定量的に分析し,高平均所得国において貿易損失を被る個人の割合を算出した。高平均所得国の高所得者が貿易損失を被る可能性があるという帰結は,Stolper-Samuelson定理のそれと大きく異なっており,貿易と所得分配に関してさらなる分析が必要であることを示唆している。
|