Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
インドネシア製造業において,日系企業から地場系企業にもたらされる生産性スピルオーバー効果の統計的な検証を行った。インドネシア中央統計庁の事業所レベルのデータベースを元に,出資者情報を含むデータベースを新たに作成し,外資系事業所を,(1)日系(2)その他アジア系(3)非アジア系(4)分類不明の4つに分類した。また,出資者情報については,より包括的な資料が見つかったため,平成18年度に購入し,昨年度に作成したデータベースの改訂を行っている。 統計分析の結果によれば,同国製造業(大中規模の事業所を対象)において,日系企業は近年,雇用の8%,付加価値の21%を占めており,日系企業の重要性が示された。日系企業が存在することによって地場系企業の生産性に与える外部効果(生産性スピルオーバー効果)については,プラスの効果があることを示す結果が得られた。ただし,1980年代後半より,その他アジア系の事業所が急増しており,他の先進国からの多国籍企業と比較してこれらの事業所は資本集約度が低く,また労働生産性も低い。技術伝播において,外資系企業の利用する技術の性質は生産性スピルオーバー効果の大きさに影響を与える可能性がある。そこで,外資系事業所グループ別に生産性スピルオーバー効果の大きさを比較した。日系とその他アジア系からの効果はプラスであるが,他の外資系からの効果は統計的に有意でないこと,また日系よりもその他アジア系の方が効果は大きいことを示す結果が得られた。また,日系とアジア系からの効果にはシナジー効果があり,例えばアジア系からの効果は日系のプレゼンスが大きくなると大きくなるという結果が得られている。さらに,これらのプラスの効果はアジア経済危機以降小さくなっていることが示された。上記の結果は2本の論文にまとめられ,その内1本は,East Asian Economic Association, Tenth Intemational Convention(Beijing)において発表された。
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