Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
平19年度は,これまでの研究成果を単著『配当政策の実証分析』(中央経済社)として刊行した。本書は,資本市場ベースの会計学研究の立場から,わが国企業の配当政策を実証的に分析したものである。本書は2部構成であり,第1部では,利益の時系列特性と関連付けながら,配当政策が資本市場に与える影響を分析している。分析の結果,配当はそれ単独の情報として評価されているのではなく,利益の時系列特性と関連付けながら評価されていること等の証拠を発見している。第2部では,記念配当という,わが国企業独自の配当慣行に分析の焦点を当て,その経済学的な意義を様々な角度から分析している。分析の結果,記念配当には高度な柔軟性が備わっており,その柔軟性を利用して経営者が裁量的な配当調整を行っていること,その一方で,記念配当には相当程度の拘束性が備わっており,株式市場は,そのような記念配当の実態を的確に把握していること等の事実を発見している。 本書の第1の貢献は,コーポレート・ファイナンスの研究領域と考えられている配当政策を,会計学研究の立場から独創的・体系的に実証分析している点である。第2に,会計ベースの最先端の企業価値評価モデルであるオールソン・モデルを基礎としつつも,わが国のディスクロージャー制度や証券市場の特徴を考慮して分析モデルに独自の工夫を加え,先行研究とは異なる新たな発見事項を提示している点である。第3に,わが国企業独自の配当慣行である記念配当を体系的に分析した世界初の研究である点である。ほかにも,経営者の次期配当予想,連結ベースの配当政策,額面配当率主義等の分析は,わが国独自の制度下でのみ行いうるものであり,本書の発見事項は,世界的にも類をみない貴重な証拠資料として位置付けることができる。なお,本書は,第50回(2007年度)日経・経済図書文化賞を受賞したことを付記しておく。
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