Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の主な目的は以下の二つであった。第一は、家庭防災と地域防災の促進要因と、阻害要因について検討し、因果モデルを構築することである。第二は、防災行動モデルに基づいた、ワークシヨップ・プログラムを開発し、実践することである。本年度は、防災行動モデル構築に関する実証的研究を行い、この成果は査読つきの学術論文として公刊された。質問紙調査の結果、家庭防災、地域防災のいずれに対しても、主観的規範、防災行動に対するベネフィット認知、災害に対する関心が正の影響を与えていた。また、地域への愛着や社会考慮は、地域防災の行動意図を高める要因であることが明らかになった。また、リスク認知と防災行動意図には弱い関連しか確認されなかった。これは、これまでリスク認知を高める防災情報が住民に対して提供されることが多かったが、そのような情報が、住民の防災力向上に与える影響が小さい可能性を指摘した研究であり重要である。一方、昨年度に開発した防災教育プログラムを発展させ、大学生を対象とした教育実践を行った。さらに、アウトリーチ活動として、本研究で開発した防災教育プログラムを、名古屋大学で開催された防災フェスタ2008で公開した。地域防災活動を先導している地域住民からは、自分たちの地域住民や児童を対象としてプログラムを実施したいという要望もあった。また、これと関連する研究として、名古屋市で実施した、地域防災力向上のためのワークショップ運営とファシリテーションの実践に関する査読つき学術論文も公刊された。
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名古屋大学大学院教育発達科学研究科技紀要(心理発達科学) 54巻
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http://www.educa.nagoya-u.ac.jp/motoyoshi/