公共事業における合意形成過程の社会心理学的分析:マイクロ-マクロ公正の役割
Project/Area Number |
17730367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social psychology
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
福野 光輝 Hokkai-Gakuen University, 経営学部, 准教授 (30333769)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 紛争構造 / 認知次元 / 解決手続きの選好 / 合意形成 / 公正 / 紛争認知 |
Research Abstract |
平成19年度に進めた分析のひとつでは、公共事業紛争の対立構造に対する一般市民の認知次元とともに、こうした認知が紛争解決手続きの選好におよぼす効果を検討した。対人葛藤の認知枠組みに関する研究は、人々が葛藤を関係-課題次元、理知的-感情的次元、勝利-妥協次元(一方に非がありその当事者の譲歩によって解決可能か双方の妥協によって合意が可能か)のいずれかにもとづいて知覚すると主張している。公共事業紛争を集団間葛藤ととらえれば、関係-課題次元といった対人葛藤特有の認知枠組みをあてはめることはむずかしいかもしれないが、理知的-感情次元と勝利-妥協次元は利害対立状況にほぼ共通した次元とも考えられる。一般に、否定的な感情は創造的な問題解決を阻害するため、感情的な対立は当事者による統合的合意の達成を困難にすると予想される。そのため、公共事業紛争を行政と地域住民の感情的な対立とみなす一般市民は、調停や裁判といった第3者介入による紛争解決手続きを選好するだろう(仮説1)。また、勝利-妥協次元でとらえられる対立は規範葛藤とみなすことができる。規範葛藤は正邪をめぐる対立であるが、深刻化すれば当事者どうしで解決するのはむずかしくなる。そのため、公共事業紛争を、どちらかに非があるとする勝利的な観点から認知する一般市民もまた、調停や裁判といった第3者による紛争解決手続きを好むだろう(仮説2)。全国8市町に在住の有権者1,400名を対象におこなった質問紙調査データを分析した結果、敵意や正邪の認知次元は第3者による手続きとの関連が示され両仮説とも部分的に支持された。しかし、本分析で得られた軽視という認知次元は交渉や調停といった手続きと関連した。これらの手続きは公共事業紛争解決においてもっとも好まれるが、これらの手続きが選好されるためには紛争構造が当事者間の地位関係の問題と認識される必要があるかもしれない。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)