Project/Area Number |
17730380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educational psychology
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中島 伸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (40293188)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 素朴生物学 / 老化現象の理解 / 生物学的思考 / 老化概念 / ステレオタイプ / 身体特性 / 心理特性 / 認知発達 |
Research Abstract |
成熟期を過ぎ老年期に向かうと、機能低下が見られる属性は少なくない(Sandrock,1985)。こうした老化現象は本来的には身体内部的原因によって引き起こされ、誰にでも普遍的に生じ、不可逆的であり、漸進的に進行するという特徴を持つ生物学的現象である(Strehler,1962)。老年期における機能低下を認識すること、老化現象を生物学的現象として理解することはいつごろから可能なのだろうか。これまでに、幼児でも老人の持ついくつかの属性を若年成人より劣った状態にあると評価する傾向がみられること(中島,2006)、幼児でも身体過程を含む生物現象の理解に適用できる素朴生物学を有している(Inagaki & Hatano,2002)ことが示されている。本研究では(1)老年期は機能低下がみられやすい属性があることを幼児でも認識しているのか、(2)幼児が素朴生物学の枠組みで老化を理解しているとしたら(1)身体属性を他の属性よりも機能低下がみられやすいと認識する傾向があると考えられるが、どうなのか。(2)老年期における機能低下の原因について身体的要因による説明をする傾向があると考えられるが、どうなのか、を調べた。 4・5才児52名、小2・3年52名、大学生31名を対象とした。一般に加齢によって衰退すると考えられている7つの属性項目と統制項目について、5才のタロウさんが若年成人になった場合((1)成長課題)、若年成人から老人になった場合((2)老化課題)、各属性項目の状態は以前より(1)より望ましい方向に変化するか(2)より望ましくない方向に変化するかをたずね、さらに答えの理由も聞いた。使用した属性項目は、走る速さ、風邪への耐性、視力、力、心臓の働き、骨の強度、記憶力、優しさ(統制項目)であった。成長課題と老化課題への反応パタンおよび理由づけを分析したところ、次の4点が明らかになった。(1)幼児でも老年期は機能低下が見られやすい時期であると認識していること、(2)老年期における機能低下を身体属性特有のものとみなす傾向が子どもでは強いこと、(3)老年期には機能低下が起こることの認識は年齢の上昇とともにより明確になること、(4)老年期における機能低下には身体的要因が関与することを幼児は明確には認識していないこと、(5)記憶力の低下に脳が関与するという認識は小2・3年生以降増加すること。
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