Project/Area Number |
17730397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Clinical psychology
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Research Institution | Sophia University (2006) Tohoku University (2005) |
Principal Investigator |
吉村 聡 上智大学, 総合人間科学部, 講師 (60329117)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 対人過敏 / 青年期 / ロールシャッハ法 / アセスメント / メンタルヘルス / ロールシャッハ・テスト / eyeサイン / 対人過敏特性 |
Research Abstract |
他者への気配りを重んじる文化の影響もあって、公的自己意識の高まりが意識化されやすい青年期は、対人過敏傾向の増大しやすい時期である。本研究では、臨床群だけではなく非患者群においても認められるこの対人過敏傾向に注目して、ロールシャッハ法のeyeサインを媒体にした検討を行った。とりわけ本研究では、対人過敏傾向をもちながらも日常生活を問題なく過ごしている多くの非患者群に焦点をあてることで、彼らの「適応」がどのように達成されているのか、臨床群における適応とどのように異なるのかについて見当することに重点をおいた。被検者は臨床群(神経症及び人格障害)と非患者群(大学生)の各40名であった。 結果、非患者群と臨床群との間にeyeサインの出現頻度に有意な差を認めることはできなかった。しかしeyeサインとロールシャッハ変数との相関関係を見てみると、非患者群のeyeサインからは、この指標で高得点をとる対人過敏傾向の強い人たちが、他者と協力的な関係を築くことが苦手である可能性が示されたが(COPとの負の相関、PHRとの負の相関など)、「見られる」ことをめぐる緊張感は臨床群のそれに比べて和らいでいること(S-反応の少なさ、eyeサインが動物反応に多く登場すること)も明らかになった。一方で臨床群のeyeサインは、観念優位な傾向(M, Mpなど)との正の相関が認められ、ときにその主観傾向は論理の歪み(WSum6)や一次過程思考(Holtの一次過程思考指標)を伴うこと、怒りを発端とした統制不良の問題(S-)などと関連することが明らかになった。 以上の結果に、eyeサインの観点から見た非患者群と臨床群の典型例による事例検討もあわせて考察すると、対人過敏傾向をもつ非患者群は、臨床群とは緊張感への身のおき方や距離のとり方に違いのあること、病的体験に巻き込まれすぎずに自我を保つ力をもっていることが示唆された。
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