Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
複素数体上の可換多元環とその上の導分から頂点代数が構成されることはBorcherdsによって示されたよく知られた結果である。またその場合に、多元環としての加群が、頂点代数としての加群とみなせることは直ぐに分かる。しかし、一番簡単な頂点代数の例であるにもかかわらず、それ以外に頂点代数としての加群がどれくらいあるのかについての研究は今まで無かった。可換多元環とその上の導分から構成される頂点代数が、多元環としての加群からは得られない加群を持つための簡明な条件を求め、さらにそのような加群を分類することは、一般の頂点代数の加群の考察に有効であると考えられる。私は今年度、一変数多項式環の頂点代数としての有限次元加群について研究した。多元環としての有限次元加群の圏と頂点代数としての有限次元加群の圏が異なるための、導分に関する必要十分条件を求めた。さらに、その場合に有限次元直既約加群の分類をおこない、多元環としての加群から得られない直既約加群が、各次元に対して一意的に存在することを示した。また有限位数の自己同型群に対して、自明でない有限次元twisted 加群が存在するための、導分に関する必要十分条件を求めた。さらにそのようなtwisted加群の分類をおこない、各次元に対して同型なものを除いて、正確に群の位数個存在することを示した。得られたtwisted 加群と自己同型群で不変な部分頂点代数の加群に対応があることを確認した。これは、もともと頂点作用素代数において成り立つと予想されている対応が、より広い対象である頂点代数において検証された初めての例である。
All 2007 2005
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Pacific Journal of Mathematics 230
Pages: 469-510
130003384669
J.Algebra 287
Pages: 174-198