Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
『多体Stark Hamiltonianに対する局所レゾルベント評価』多体Stark Hamiltonianに対する漸近完全性については、1996年の私と田村氏との共同研究や、Herbst、MΦller、Skibsted三氏の共同研究によって、物量的にも数学的にも満足のいく結果が得られている。以降、数理物理学者の興味は散乱行列や散乱断面積などの性質に移ることになる。その解析には、漸近完全性の問題解決時に培われた時間依存の方法よりも、定常的な方法、特に考えているSchrodinger作用素のレゾルベントの性質を用いた解析が有効であることは、通常のSchrodinger作用素に対する研究により示されている。例えば2体問題では、極限吸収原理のような重みのみを用いたレゾルベント評価を改良するために、1980年代半ばの磯崎、北田両氏の共同研究で、擬微分作用素による、相空間における局所化(超局所化)が提唱され、そこで得られた超局所レゾルベント評価を用いて、散乱行列の性質が調べられている。この超局所化は、Mourre評価におけるconjugate operatorのスペクトルに関する局所化と密接な関係があることはよく知られている。1990年代半ばには、超局所レゾルベント評価の、多体系への拡張が、Gerard、磯崎、Skibsted三氏の共同研究などによってなされた。一方、Stark Hamiltonianに対しては、極限吸収原理に代表される、Mourre理論から直接導かれるレゾルベント評価しかこれまではなかった。標記の研究では、配位空間において、定電場の錘近傍の外部で局所化することによって、極限吸収原理を改良することに成功した。配位空間における局所化は、相空間における局所化よりもはるかに扱いやすい。この結果はLetters in Mathematical Physics 82(2007)に掲載された単著論文で公表されている。
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Letters in Mathematical Physics 82
Pages: 1-8
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Journal of Mathematical Physics (受理印刷中)
120000946798
http://www.math.kobe-u.ac.jp/~adachi/index-j.html