Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
近年は宇宙論研究において、観測技術が進歩し、例えば2004年春にWMAP衛星によって明らかにされた、晴れ上がり時の宇宙背景輻射の温度揺らぎの情報から、ある程度は初期宇宙の姿を知ることが可能となった。この晴れ上が時の情報を初期条件として、ビッグバン理論に基づいて時間発展を追えば、基本的には現在の宇宙を説明することは可能なので、現在の宇宙論の本質的な問題は、晴れ上がり以前の宇宙がどのような状態であったのかを調べることにある。その一方で、初期宇宙は高温・高エネルギーの状態にあるので、統一理論の正当性を試す舞台としても注目されている。現在のところ、重力も含めた相互作用を統一する最も有望な理論は、超弦・M理論であり、この理論の最近の進展から、我々の世界は素粒子標準モデルを内在するようなブレーン(膜)と呼ばれる超曲面であり、それがバルクという重力のみが伝播する高次元内にあるとするブレーンワールドシナリオという考え方が提案されている。このシナリオでは、高エネルギーの領域で重力法則が変更されているので、それにともなって宇宙進化のシナリオも変更される。現在までにもこの変更点に注目し、それが宇宙論的現象にどのような効果を与えるのかを調べる研究は数多くあったものの、ブレーンワールドシナリオが標準のシナリオに対して定量的にどの程度違う予言を与えるのかは未だ求められていない。それに対して、私が本年度に行った研究では、RSモデルという最も単純なブレーンモデルで、ブレーン上をド・ジッター時空で近似するという対称性の高い状況であるが、密度揺らぎの発展方程式が簡略化されることを示し、解析的な取り扱いが可能な線形領域において、高次元の効果が重要な役割を果たすことを解析的に示した。
All 2006 2005
All Journal Article (4 results)
Physical Review D 73
Pages: 43503-43503
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics 02
Pages: 6-6
Journal of High Energy Physics 05
Pages: 16-16
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics 08
Pages: 9-9