原子ステップの運動による3次元結晶構造物のマクロスケール変形機構の解明
Project/Area Number |
17740197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics I
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
須藤 孝一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (90314426)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 表面 / ステップ / 緩和 / 走査プローブ顕微鏡 / 表面拡散 / 微細構造 |
Research Abstract |
今年度は、シリコン表面の1次元グレーティング構造の熱緩和とSrTiO_3(001)表面上の穴の減衰メカニズムについて研究を行った。これらの現象の観察を通じて、立体的な結晶構造物の変形における物質輸送のしくみに関する重要な知見を得た。以下に具体的な研究成果をまとめる。 Si(001)基板上に形成した、深さ2μm、周期が0.8〜4.Oμmの1次元矩形グレーティングを高温で加熱した時の、断面構造の時間変化と表面におけるステップ構造の時間変化を走査電子顕微鏡(SEM)及び走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて調べた。巨視的な断面プロファイルの時間発展は、Mullinsの連続体理論に基づいたシミュレーションで再現できることが分かった。一方、STMでグレーティングの表面を観察したところ、ステップ運動によって巨視的な変形が起こっていることが確認された。比較的振幅が大きな段階では、グレーティングの波長よりも小さな周期構造が形成されていることが分かった。また、減衰の後期では、グレーティングの頂上に形成される(001)ファセットが加熱時間にほぼ比例して成長して行くことが分かった。これらのSTM観察結果は、連続体モデルでは理解できない、ステップ運動による変形の特徴であることを明らかにした。 また、SrTiO_3(001)表面上にSTMナノ加工技術を利用してナノスケールの穴を形成し、その緩和過程をSTMでその場観察した。多層穴の緩和過程では、穴の縁は広がりながら、底から一層づつ埋まっていくことが分かった。さらに、この観察結果は、拡散律則を仮定した連続体ステップモデルのシミュレーションで再現できることを示した。一連のSTMその場観察結果より、ナノスケールの多層構造では、層間での原子の輸送機構とステップ問の相互作用が、その構造変化において本質的な役割を果たしていることを見いだした。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)