Project/Area Number |
17740213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics II
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤山 茂樹 東京大学, 大学院工学系研究科・研究拠点形成特任講師 (00342634)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Keywords | 強相関電子系 / 有機導体 / 核磁気共鳴 / 磁場誘起超伝導 |
Research Abstract |
(Me-3,5-DIP)[Ni(dmit)2]2はアクセプター分子であるNi(dmit)2により二次元的層状構造をもつ。このときドナー分子の配列の違いから二種類の二次元層が出現し、これらが交互に積層する。結晶構造から期待されるバンド計算から、一方の二次元層はモット絶縁体となることが期待されるのに対し、片方の二次元層には楕円状のフェルミ面が現れ、絶縁体と金属が交互積層した特異な系となることが期待される。実際に、初期的な巨視的物性測定によると、電気抵抗が強い異方性を持つ金属的温度依存性を示すのに対し、磁化率は温度に強く依存し、20K付近に長距離秩序相転移と考えることのできる異常が見いだされる。 われわれは、この物質の絶縁層、金属層それぞれの電子状態を微視的に調べるため、Ni(dmit)2分子の一部を13Cに置換したNMR研究を行った。 10K以上の1/T_1Tは温度にほとんど依存せず、観測原子核が伝導電子により緩和していることを意味しているが、絶縁層の反強磁性転移温度より十分高温である40K付近に明らかな減少がみられ、Imχ(q,ω)の減少を示唆する。また、1/T_<2G>においても35K以下で有意な減少が観測された。1/T_<2G>の第二項は核スピン同士の双極子相互作用であり温度に依存しないため、この減少はReχ(q,ω)に帰着される。 この異常の見られる温度は絶縁層内で反強磁性相関が顕著に増大しNMR線幅の増強される温度と一致し、絶縁層において成長した反強磁性相関のために金属層におけるフェルミ面が一部欠損しているか、もしくは再構成を受けていることを示唆している。
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