Project/Area Number |
17740217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics II
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 直人 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (30376652)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 中性子散乱 / 磁気励起 / 微小結晶 |
Research Abstract |
高温超伝導銅酸化物において超伝導と結びついた特徴的な反強磁性スピン揺らぎが観測されているが、高温超伝導発現のメカニズムにそれらがどのように関わっているのかは未解明である。最近、異なる高温超伝導の系で共通する分散を持つ砂時計型の磁気励起が観測され、その起源が盛んに議論されている。しかし、その磁気励起の温度依存性は物質により重要な違いがある。いわゆるレゾナンスピークと呼ばれるYBCO系における磁気励起はTcで出現し、Tc以下で顕著に増大するのに対し、LSCO系における同じQ=(π,π)における励起はTc前後で顕著な温度変化を示さず、Tc以上でも残る。この温度変化の違いは、高温超伝導体に共通する砂時計型の磁気励起の理論モデルを構築する上で非常に重要である。本課題の目的はもう一つの代表的な高温超伝導体Bi2212系の磁気励起を探索する事にあるが、今年度(π,π)における磁気励起の観測に成功し、その温度変化を測定した。その結果、(π,π)における磁気励起がTc以下で増大し、またその増大が他のYBCO系の最適ドープで観測されている増大と定量的に一致する事を見出した。加えて、(π,π)における磁気励起はTc以上でもその強度の3/4が残存する事を新たに発見した。これまでに報告されているBi2212系の中性子散乱実験では、Tc以上で残る(π,π)における磁気励起は報告されておらず、その磁気励起の温度変化はYBCO系のそれと類似していると認識されてきたが、今回の実験結果はTc以上でも残るという点でLSCO系とも類似点がある。砂時計型の磁気励起の理論モデルは大まかにLSCO系の結果とYBCO系の結果を説明する物に2分されてきたが、今回の結果はBi2212系ではその両方の特徴を併せ持っており、理論モデルはこれらを統合して説明できる物でなければいけない事を示している。
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