Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
今年度の研究成果は以下の通りである. 1.平成17年度に引き続き,Caサイトを希土類元素(RE)で全置換した希薄ホール濃度のBi2212単結晶で低周波領域の複素誘電率測定を行った.キャリアドープしたモット絶縁体では,原子尺度での電荷秩序形成やこれに伴う巨大誘電率の可能性が報告されている.当初,本研究でも緩和的な誘電分散と10^3を超える巨大誘電率が観測されたが,電極の最適化によりこれらの現象は抑制され,代わって240K程度の温度から急激に誘電率が増大する振舞いが現れた.これはキャリアドープした半導体に見られる誘電カタストロフィと同一の現象である.しかしBi2212の面間の誘電率は高温まで殆ど変化がないことから,CuO_2面内にホールが閉じ込められている様子が伺える.絶縁体組成Bi2212における電気伝導性発達の機構を調べるため,今後さらに系統的な誘電率測定を計画している. 2.電気伝導性が未発達な希薄ホール濃度域の試料の局所電子状態を調べるため,走査型ケルビンプローブ顕微鏡(SKM)の製作を続けている.SKMの基本形である走査型トンネル顕微鏡(STM)システムの構築から着手し,構成部品の設計1製作を完了して,現在は組立と調整の工程に入っている. 3.Bi2212との比較を目的として,YBCO単結晶の低温STM測走を行った.破断により終端となったBaO面で,直下の低ホール濃度CuO_2面の電子状態を反映した一次元短距離的な電荷密度の変調の観測に成功した.特に今年度は,幾つかの銅酸化物で報告されたチェッカーボード型秩序状態との関連を明らかにすべく,不純物や磁場に対する応答を重点的に測定した.これまでのところ,変調強度は少なくとも不純物種には大きく依存することを見出している.
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