Project/Area Number |
17740238
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics II
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
綿貫 徹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (30343932)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Keywords | 準結晶 / 相転移 / 高圧 / 放射光X線回折 |
Research Abstract |
1.Cd-Yb準結晶の低温高圧下における構造変化 本研究では、低温高圧下でCd-Yb準結晶がどのような構造変化を起こすかを調べた。特に、対応する周期系物質である近似結晶に見られたような配向秩序化や格子の低対称化といった構造相転移が現れるか否かに着目した。 低温高圧下の構造観察は、単準結晶試料を用いた放射光X回折実験により10-300K、常圧-17GPaの領域で行なった。高圧発生にはダイアモンドアンビルセルを用いたが、その際、圧力媒体として静水圧性の最も良いヘリウムガスを用いた。また、冷却の際に、圧力変動を0.03GPa以内と非常に小さくすることにより、圧力媒体の固化する低温においても試料に余分なストレスを加えず擬似的に静水圧条件が得られるようにした。従来の準結晶高圧実験は、静水圧性の問題で明瞭な結果が得られてこなかったという経緯があり、世界的にも類を見ない静水圧条件下での測定を行なった。 その結果、Cd-Yb準結晶では、構成要素の原子クラスターが近似結晶のようには秩序化相転移を起こさないことが明らかとなった。その一方で、4GPa以上の高圧および低温領域(例えば、9GPaでは215K)では、正二十面体対称の準周期格子が、扁平するように変形するという構造変化が観測された。この構造変化はHeの固化と関連している可能性があり、自発的変化であるか否かを決定するには至っていない。しかし、自発的変化であれば、準結晶として初めての観測例となる。 2.Cd-Yb準結晶と近似結晶の構造変化の比較検討 近似結晶で温度圧力に応じて原子クラスターが様々な構造秩序を形成したのに比べて、準結晶では秩序形成は起こらず、また、格子変形量もわずかであった。このように準周期配列では同一クラスターが周期配列した近似結晶とは対照的に、構造変化を起こしにくい性質があることが判明した。
|