振動励起分子イオン生成による星間空間低エネルギーイオン分子反応の研究
Project/Area Number |
17740268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡田 邦宏 上智大学, 理工学部・物理学科, 助手 (90311993)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | イオントラップ / イオン-分子反応 / NH_3^+ / イオン分子反応 / レーザー冷却 / 共同冷却 |
Research Abstract |
18年度前半から後半にかけて、17年度に製作した冷却八重極線形RFイオントラップを用いて、温度15-240KにわたるNH_3^++H_2→NH_4^++H反応速度定数kの測定を行った。この反応経路には、わずかなポテンシャル障壁(〜0.2eV)が存在するため、通常のイオン-分子反応には見られない特異なんの温度依存性が存在するが、本研究の測定でも過去のHerbstらによる理論値と同様に、100K付近に極小値をもつたの温度依存性が再現された。過去に行われたSelected Ion Flow Tube(SIFT)法による測定値と比べて本研究による測定値は理論値と良い一致を示した。Herbstらは過去の実験値とのずれが大きい理由として、理論計算による計算誤差が大きいためであると結論しているが、高圧力下(〜70Pa)でのSIFT法による測定値は、ペニングトラップによる低温・低圧力下(10〜20K,〜10^<-9>Pa)での測定値との間にも矛盾が見られる。本研究で行なった低温・低圧力(15-240K,10^<-3>Pa)下での測定結果は理論値及び20Kでの過去の測定値との一致がよい。したがって、過去の実験値と理論値の不一致は、計算誤差だけではなく、実験値における系統誤差にも原因があると予測される。本研究の結果から、星間分子雲中での分子存在比の議論を行うためには、低温・低圧力下での測定が必要であることが改めて示唆された。 18年度末には、NH_3^+の振動励起状態生成のための赤外光源の立上げを行った。当初予定していたレーザーによる差周波発生法は、基底状態NH_3~+によるNH_3~++H_2→NH_4^++H反応速度定数の測定に予定以上の時間を要したため断念し、代替としてフィラメントからなる簡易赤外光源(Helio Works社製,EP-3963,3W)とバンドパスフィルター(バンド幅0.8nm)の組合せによる赤外光の発生を試みた。その結果、目的の振動励起状態の生成に必要な2.9μmの光パワーとして約0.2mWを得た。しかし、この光パワーによって得られる振動励起状態の割合が数%程度であると見積られたため、赤外光を入射した状態でのたの測定では、十分な結果を得ることができなかった。しかし、今後より強力な赤外光源と置き換えれることができれば、振動励起状態イオンを用いた測定が十分に可能なはずである。本研究の実施によって、振動励起NH_3^+によるkの温度依存性の測定を行う基礎を確立できたと言える。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)