Project/Area Number |
17740273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大村 英樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60356665)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | コヒーレント制御 / 量子制御 / 位相制御 / フェムト秒光パルス / 光イオン化 |
Research Abstract |
本研究課題は高度に制御されたレーザーパルスを用いて分子のイオン化過程を精密に制御することを目的としたものである。位相制御された強いレーザーパルスを使用することによって、レーザーパルスのもつ強高度性と光のコヒーレントな性質の両方の特徴を利用し、従来の方法では達成が困難であった(分子の頭と尻尾を区別した)分子配向制御を伴った光イオン化の制御法の探索を目指した。 (1)強高度レーザー用光パルス位相制御装置を作製した。本研究で使用するマッハーツェンダー干渉計は、高強度レーザーに耐える光学系が要求される。(通常の金属蒸着ミラーは使用できない。)加えて異なる波長の強高度レーザーがコヒーレントに重ね合わされ光学系に照射されるため、それぞれの波長で耐久性のある特殊なミラーが必要となる。上記の仕様を満たす誘電体多層膜ミラー(レーザー耐力2J/cm^2)を特注し、波長1064nm+532nm、100mJクラスの位相制御された高強度レーザーパルス(パルス幅;10ナノ秒)の発生を行った。 (2)光解離生成物画像観測装置の作製を行った。光イオン化によって発生した光解離生成物は、分子構造や光解離過程の情報を含んだ放出角度分布を示す。位相制御された高強度レーザーによって分子が制御されているどうかは、この放出角度分布を測定することによって確認することができる。そこで放出角度分布を画像として検出することのできる2次元画像検出器(蛍光板つきMCP)を装備した真空チェンバーを作製した。 (3)10^13W/cm^2程度の光強度の位相制御光によって光イオン化の実験を行った。その結果、頭と尻尾を区別した配向分子が検出されることをがわかった。配向分子が検出されるメカニズムとして動的分子配向効果と配向分子選択イオン化が考えられたが、(1)無極性非対称分子(Br(CH2)2Cl)、(2)動的配向が観測されにくい重い分子(C6H13I)、(3)永久双極子モーメントがほぼ等しく波動関数の非対称性が系統的に変わる分子系などを用いて実験を行った結果、異方的波動関数からのトンネルイオン化に基づく配向分子選択イオン化が主要な効果であることが明らかとなった。またパルス幅と波長の異なる2種類の位相制御光(130fs、800nm+400nm)(10ns、1064nm+532nm)で実験を行った結果、配向分子選択イオン化は波とパルス幅に依存しない現象であることが明らかとなった。
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