Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
冬季、日本海上では様々なスケールの渦状に組織化された降雪雲が生じることが知られている。それらの渦状擾乱は独立して存在するのではなく、低気圧、あるいはポーラーロウなどの比較的大きな渦状擾乱に伴うシアライン上に数十〜100km程度の一桁小さな水平スケールを持つ渦状擾乱が形成される場合が多い。本課題では非静力学雲解像モデルを用い、こうした異なる水平スケールをもつ擾乱の相互作用について明らかにすることを目的とする。平成19年度は、大規模な場における傾圧不安定によるシアライン(寒冷前線に相当)の形成と、そこでの渦状擾乱形成メカニズムについて数値実験を行った。具体的には非静力学モデルの初期値として東西風の鉛直シアに比例した南北温度傾度をもつ傾圧場を与えて傾圧不安定波を生じさせ、形成される前線上での二次的な不安低波の発達と構造について調べた。東西風の鉛直シアの大きな場ではシアラインを形成する寒冷前線の寒気と場の東西風鉛直シアとのバランスにより、深く、強い上昇流が形成され、それに伴う水平シアラインも深く、強いものが形成された。これにより水平シア不安定波の発達が促進され、明瞭な渦状擾乱が形成された。一方、東西風鉛直シアが弱い場合、寒冷前線先端の上昇流は寒気側に大きく傾き、シアラインも弱く、浅いものとなり、明瞭な渦状擾乱は形成されなかった。また、同様の設定で大気の鉛直安定度を変えた実験により、下層の安定度が小さくなるほどシアライン上で生じる渦の融合成長が抑制されることが示された。
All 2007
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Journal of the Atmospheric Sciences 64
Pages: 2355-2377