Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
北太平洋中緯度の水温前線(亜熱帯前線)上に見られる,低気圧性のカールを持っ特異な海上風場について,その出現メカニズムを,人工衛星観測資料と高解像度大気海洋結合モデル資料を用いて調べた.平成17年度には,低気圧性の風カールが亜熱帯前線の暖水側に沿って,数日から約10日の周期で断続的に現れ,海面気圧の低圧偏差と降水を伴うこと,また,水温前線が強化する4-5月に低気圧性のカールが顕著に現れることを示した. 本年度は,上記資料に加えて大気の客観解析資料も合わせて解析し,さらに研究を進めた.その結果,亜熱帯前線上の大気境界層には気温と水蒸気の前線が形成され,亜熱帯前線の暖水側では,高温多湿のために大気下層が対流不安定の状態であることがわかった.4-5月のコンポジット解析を行った結果,低気圧性のカールが見られない時は,前線上で南風が卓越していて,一方,低気圧性のカールが現れる時は,冷たく乾燥した北風が前線を横切って吹き込んでいることがわかった.これにより,風の収束が前線の南側で生じ,少なくとも700hPaの上空まで達する強い上昇流が起こっていた.この上昇流は,水蒸気量や雲水量の局所的な最大を伴って現れていた.強い上昇流と大気への潜熱の放出が,海上における低気圧性の風カールの要因であると考えられる.また,前線を横切る北風は,日本付近を通過する移動性の総観規模擾乱による風であることがわかった.亜熱帯前線の南側への北風の侵入が対流不安定のトリガーとなり,強い上昇流と海上の低気圧性の風カールを引き起こしていると考えられる. 本結果は,亜熱帯前線域における海洋から大気への影響を新たに示したものであり,現在,学術雑誌への投稿の準備を進めている.
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