Project/Area Number |
17750053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
道岡 千城 京都大学, 理学研究科, 助手 (70378595)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 積層化合物 / 希土類金属化合物 / 長周期構造 / 電荷密度波 / 核磁気共鳴 / 電子線写真 / ラウエ写真 / カルコゲナイド / 低次元磁性 / RKKY相互作用 |
Research Abstract |
新しい希土類金属を含む積層化合物の物性探索として、ひとつは常温で電荷密度波(CDW)状態にあると言われるLaTe3,CeTe3の物性をTe,LaのNMRにより研究を行った。またRSe2,RSe3(R=希土類金属)の基礎物性(磁性、輸送物性)と電子顕微鏡を用いた構造研究を行った。LaTe3,CeTe3は岩塩をスライスした構造のLaTe層と正方格子のTeシートが交互に積層した構造を有する。電子線写真に超格子散乱が見られることからCDWの存在が示唆されていた。La核のNMRスペクトルはシャープなピークであるがTe核のNMRではシャープなピークと長周期構造を意味するブロードなスペクトルの重なりが見られた。従って岩塩構造に歪みはなく、Teシートに長周期構造があることが明らかになった。また核スピン-格子緩和時間の温度変化は通常の金属に特徴的なコリンハ則に従い、CDWの素励起に特徴的なギャップ的な振る舞いは観測されなかった。従って、この物質はCDWにより長周期構造を形成しているのではなく、格子系の不安定性のため格子変調をおこしているミスフィット化合物であると考えられる。またCeTe3のTe核のNMRではスペクトルはLaTe3に比べ大きく広がって、またその線幅は帯磁率にスケールするような温度変化が見られた。これはTe核がCe原子の磁気的なトランスファードハイパーファインフィールドを感じた結果であると考えられる。またRSe2,RSe3系はTe系と異なり半導体的な電気抵抗の温度変化を示す。これらの化合物ではラウエ写真から構造を調べたところ、希土類金属の種類に応じて、長周期構造を示唆する回折斑点の現れるものと現れないものがあることが明らかになった。このとき長周期の構造を有するものでは半導体的なエネルギーギャップが長周期構造を持たない物質の10倍近く大きいことが明らかになった。これらの結果により新しい希土類金属積層化合物の二次元的な構造に起因する物性を解明した。
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