Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、近赤外振動(NIR)分光法を界面選択的な和周波発生(SFG)分光法と組み合わせたNIR-SFG分光法を新規に構築し、新たな界面(表面)プローブ法の確立を目指すものである。昨年度構築したNIR-SFG分光法は、GaAsやQuartzのようなバルクから強いSFG信号を発生する標準試料を用いた場合、NIR領域のSFG信号の検出は可能であった。そこで実際に表面・界面の分光法として使用可能かどうかを確認するため、NIR領域に既知のピークを与える表面シラノール基(Si-OH)および水の倍音のピークの観測を試みた。しかし装置の都合上、測定に用いたNIRの強度が弱く実際にピークを観測するまでにいたらなかった。そこで中赤外領域の光を用いたSFG分光法を生体分子/水界面に適応し、生体分子周囲の水の構造評価を行なった。具体的には光センサータンパクの一種であるPhotoactive Yellow Protein(PYP)を固体基板上にHis-Tag法によりタンパクの活性を保持した状態で固定化し、PYP/水界面の構造評価を試みた。その結果、タンパク周囲の水は、水素結合ネットワークを形成し"ice-like"な構造をとることが分かった。また、タンパク周囲の水の構造は、タンパク自身のもつ電荷によって形成される界面電気二重層の厚さに大きく依存し、電荷が大きいほど界画水はタンパク周囲で高配向することが分かった。PYPは440nmの光を吸収することで、タンパク内部に存在するクマル酸がcis-transの異性化を起こし、PYP自身の構造が変化する。この構造変化に伴う界面水の構造をSFG分光法により追跡した。その結果、光照射前後でCH伸縮振動領域にSFG信号の変化が観測されたが、界面水のOH伸縮振動領域には変化が現れなかった。このことは、光照射によりタンパク自身の構造は変化しているが、界面水の構造を変えるほど大きな構造変化ではないことが示唆された。
All 2006 2005
All Journal Article (7 results) Book (2 results)
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Pages: 15055-15058
表面科学 270・31
Pages: 595-600
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J.Phys.Chem.B 110・10
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化学 60巻(7月号)
Pages: 70-71