Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
接着性細胞は,細胞外の基質に対して,細胞膜上のインテグリン等の受容体を介して細胞外基質に接着し,細胞内外の力学的相互作用を媒介している.また,細胞内においては,アクチンストレスファイバー等の細胞骨格が,力学的平衡の下,ネットワーク構造を形成し,細胞の形態や機能に大きな影響を与えている.このような細胞内における力学的な構造システムは,常にダイナミックな過程にあり,例えば,アクチンフィラメントは,重合と脱重合を繰り返しながら,動的に平衡な過程にある.さらに,これらの構造を構築するためのタンパク質やシグナル制御を担う様々な生化学的な因子は,力学的な因子と相互作用している.そこで本研究では,細胞内力学構造システムのダイナミクスにおける力学因子と生化学因子の相互作用から生み出される動的なシステム構築の過程を明らかにするため,実験的検討および分子動力学法を用いた理論的検討の両面から検討を行った. まず,移動性細胞であるケラトサイトを用い,移動過程におけるアクチン細胞骨格のダイナミクスに着目した.ラメリポディア内に広がるアクチンネットワークに対して,蛍光プローブをドット状にラベリングし,移動過程におけるアクチンの逆行性流れを観察することで,アクチンネットワークの変位場からひずみ場を解析し,張力解放に伴うアクチン脱重合による密度変化との関連を示した. 次に,分子動力学シミュレーションを用いて,アクチンモノフィラメントに対して張力が作用した際に生じるタンパクレベルでの構造変化について検討した.その結果,アクチンフィラメントのモノマー間のねじれ角のゆらぎが,張力作用により抑制されることが示され,逆に,張力解放が切断関連タンパク等との相互作用の調整を行っている可能性が示唆された. さらに,人工リボソーム内でのアクチンタンパク重合実験系の確立を目指し,制御されたマイクロ環境内でのアクチンダイナミクスのin vitro実験系について検討した.その結果,アクチンモノマーと関連架橋タンパクの存在下におけるアクチン重合とバンドル構造形成の条件を絞ることができた.
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