Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本年度は特に高強度化が求められている高炭素鋼線を対象として,表層部付加的せん断ひずみ層が細線材の引張り強さに与える影響を検討した。ダイス半角7degの角度型ダイスを用いて減面率16%の伸線加工を施した高炭素鋼線SWRM82を対象として,電解研磨で表層部を除去しつつ引張り強さを測定した。その結果,表層を除去するにしたがい,引張り強さが減少することが確認され,表層部の引張り強さが中心部よりもかなり高く,中心部の1.3倍の引張強さであることが示された。これは低炭素鋼線の結果とほぼ一致する。したがって,高炭素鋼線においても,表層部付加的せん断ひずみ層は細線材の引張り強さに大きく影響していると考えられる。さらに,ダイス半角7degの角度型ダイスを用いて総減面率58%までの連続伸線を施した細線材では,伸線を重ねた場合の表層部の引張り強さ向上が,中心部と比較して非常に大きいことが確認された。この結果より,伸線を重ねるほど付加的せん断ひずみ層の効果が大きくなることが考えられる。この傾向も低炭素鋼線の場合とほぼ同じである。しかし,低炭素鋼線では,総減面率30%ほどで表層部の引張強さの大幅な上昇は飽和するのに対して,高炭素鋼線では,総減面率58%でもそのようなことは起こらず,さらに引張強さが向上する可能性が示唆された。以上の結果より,付加的せん断ひずみ層は高炭素鋼線に対しても,引張り強さ向上の重要な要因となることが示され,付加的せん断ひずみ層を利用した高炭素鋼線の高強度化技術の開発につながる知見を得ることができた。
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