Project/Area Number |
17760502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Town planning/Architectural planning
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 智秀 日本大学, 理工学部, 講師 (10307796)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ウォーターフロント / 海辺の建築 / 景観 / 海景鑑賞の型 / 名所 / 都市デザイン / 変容 / 大正期 / 江戸 / 明治 / 視覚構造 / 海景観賞の型 |
Research Abstract |
本年度は大正期、昭和初期の「海景観賞の型」を分析し、これまでの成果である江戸期・明治期から大正期・昭和初期を通じて、伝統的な「海景観賞の型」の抽出を行うとともに、その成立要因を明らかにすることが目的である。 大正期では名所案内記8冊を対象として、そこに掲載された絵図・写真・記述文444事例を、昭和期では名所案内記17冊を対象として1,734事例(絵図・写真・記述文)をそれぞれ取り上げ、当該事例において「人」「建築物」「海」の3要素が同時に含まれる「海景観賞の型」の抽出を試みた。これより、本研究成果は大きく次の6つに整理できる。 (1)大正期と昭和初期いずれも、3要素で構成される「海景観賞の型」は皆無であった。これより「海景観賞の型」は、江戸期から明治期にかけて成立していたものの、大正期以降に「消滅」した。 (2)大正期の海辺の名所では、海を含む写真が3事例(築地海岸、芝浦埋立地、品川海岸)、海を望む名所に関する記述文8事項(海辺の眺望;4記述、海岸1、海水浴場1、潮干狩1、海辺の寺社1)がみられた。海を含む写真は、工業地帯・鉄道といった新規の「産業景観」が主流であった一方、記述文は、海水浴場、潮干狩、寺社など明治期から受け継がれた伝統的事象がみられた。これらより大正期の海辺の名所は、新規的事象と伝統的事象の両者が同時に好まれていたことを認識した。 (4)昭和初期の海辺の名所では、海を含む写真が1,734事例中21事例、海に関する記述219事項を捉えた。海を含む写真は、芝浦の桟橋・岸壁といった「港湾景観」が中心であり、記述文は、これまで継承されてきた名所から海に向けた眺望であった。これより海の風景は変容しつつも名所自体は伝統的に継承されていたことを捉えた。 (5)大正・昭和初期で「海景観賞の型」が消滅した要因として、分析資料に掲載された名所の特徴と調査地区海岸線33,000kmの土地利用を分析した結果、名所の多くは内陸の建築物・土木構造物である一方で、海岸線では積極的に展開された埋立地に民衆が容易に立ち寄れる場や海景の魅力を高める建築物が存在しなかったことを捉えた。 (6)以上のことから、本研究では、江戸期から明治期にかけて成立した6つの「海景観賞の型」を、わが国における伝統的な「海景観賞の型」と位置づけた。そして6つの型を成立させる数値的指標(視距離、俯角)と、現代社会への適用可能性について考察を行った。(詳細は紙数制限から下記の土木学会景観デザイン研究論文集に代える)
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