Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本年度は,アモルファスシリカ膜における気体透過現象を分子動力学シミュレーションにより再現することを目的として,気体透過特性におよぼす膜構成原子の動特性と膜細孔径分布の影響に着目して,以下のとおり研究を実施した. 1.シリカポリマーネットワーク膜モデルの妥当性評価とポテンシャルパラメータの最適化 分子の膜透過という動特性が分子シミュレーションで再現できているかが重要であり,これは,膜を構成する分子のポテンシャル関数およびポテンシャルパラメータをどのように設定するかに大きく左右される.アモルファスシリカ構造を規定する3体ポテンシャルパラメータの値を変化させて動径分布関数およびシリカ膜を構成する酸素原子の平均二乗変位を計算した結果,原子の平衡位置,すなわちアモルファス構造を維持したままでシリカネットワークの動きを制御することが可能であることがわかった.また気体透過速度の温度依存性より得られる活性化エネルギーは膜構成原子の動きを抑制した場合に大きくなった. 2.多元的細孔膜モデルの構築と膜透過シミュレータとしての妥当性評価 シリカネットワーク相の細孔径分布は原子密度に依存し,密度の増加にともなって平均細孔径は減少したが,密度1.8g/ml以上においては粒界的な細孔は消失し,He透過速度の温度依存性はその密度を境としてKnudsen的な透過から活性化的な傾向へと変化した.1.8g/mlの膜モデルでは実在CO_2分離膜における透過速度と近い結果が得られたが,H_2分離膜に比べて活性化エネルギーは小さかったことから,H_2分離膜のシリカネットワーク相はより高密度であると考えられる.粒子間細孔モデルを用いたCO_2透過シミュレーション結果と密度1.8g/ml膜モデルにおけるHe透過速度の結果を組み合わせて実在CO_2分離膜における気体透過速度データにフィッティングしたところ,およそ18nm四方に1個の割合で粒子間細孔が存在することが示唆され,これは,実在シリカ膜作製時に使用したコロイド粒子サイズを考慮すると妥当な結果であった.
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