Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
琉球・台湾地域のヤモリ属のサンプルについてmtDNAの部分配列を決定し,系統地理解析を行った.その結果,この地域のヤモリ属は,1)オキナワヤモリ・アマミヤモリ(以下,種名の「ヤモリ」は省略)の系統と,2)それ以外の系統とに大別され,後者の中にはさらに,2-1)ヤク・タカラ系統,2-2)台湾東北部の未記載種の系統,2-3)ミナミの系統の3つが認識された.このうち1と2,あるいは2-3と2-1,2-3は分布範囲が大きく重複する.さらに,2-3のなかには少なくとも3つの亜系統が認識され,それらも互いに分布域が広く重複していた.一方,一地域に異なる亜系統が混在するケースは見出せなかった.これらの結果から,ヤモリ属は東アジア島嶼域において少なくとも5度に渡って分化と分散を繰り返し,そのなかで同種内の亜系統や異種の間で2次的接触が頻繁に起こってきたと推定された.2次的接触に対する当該集団の反応について,アロザイム法の結果もあわせて解釈すると,a)集団の共存が果たされたケース,b)競争排除が起こったケース,c)集団が融合し,mtDNAだけが浸透したケースが想定され,それぞれの例として,a)沖縄諸島におけるオキナワとミナミ,大隅諸島におけるヤクとミナミ,b)奄美諸島の一部におけるアマミとミナミ,トカラ諸島におけるアマミとタカラ,沖永良部島におけるミナミ内の2つの亜系統,c)台湾や南琉球,トカラ諸島北部の一部の島嶼におけるミナミの亜系統,などが挙げられる. また,前年度に詳しい分布調査を実施した屋久島のミナミについては,異なるmtDNA亜系統に属する2集団が認められ,この種が独立に2度,同島に侵入した可能性が示唆された.今のところ,これらの亜系統間の接触は認められないが,ミナミとヤクの間では交雑が進行しており,現在進行中の2次的接触の例として,今後の集団の動向に興味が持たれる.
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