Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
オゴノリ科(紅藻綱オゴノリ目)は,外形の変異が著しく,分類形質である生殖器官の確認されていない種が多いことから,分類に多くの問題点を抱えている。これまで,本科内には主に3属(Gracilaria, Gracilariopsis, Hydropuntia)が認められてきたが,東アジアおよび東南アジアにかけての知見が不足していることから,形態分類学的・分子系統学的手法によって再検討をおこなった。19年度はこれまでの試料にフィリピン,マレーシア,タイ,韓国産の試料を加え,属内各種の形態的知見を整理するとともに,葉緑体コードのrbcLとrbcL-Sスペーサー,核コードのCox2-3スペーサーの各領域を分子系統解析し,各種および種内分類群の系統的な位置関係と系統樹に相関した形態形質に基づく分類の再検討をおこなった。また,フィリピンで現地調査をおこなった。 3年間の研究の結果,寒天の原藻として各地で利用されるGpsis chorda/lemaneiformis complexはこれまで同一種のコスモポリタンとして知られてきたが,ハワイ,日本,東南アジア(フィリピン,ベトナム)でそれぞれ独立した種であることが示唆された。また,クビレオゴノリG. blodgettiiは,フィリピンとベトナムの個体群が同一のクレードを形成し,日本産と異なった。一方,リュウキュウオゴノリH. eucheumatoidesやGpsis bailiniaeは,それぞれ単一のクレードを形成した。韓国と日本産のシラモは,地中海産種のG. bursa-pastorisの名前が充てられていたが,東アジアの個体群はハワイ産のG. parvisporaと同一クレードを形成し,東アジア産種についても本名を充てることとした。その他の種についても地域新産種を多く確認した。 以上の結果,オゴノリ科藻類は世界各地に分布することからコスモポリタンとして知られてきたが,東南アジア産種や東アジア産種は固有性が比較的高く,西太平洋において独自に種分化した可能性が示唆された。
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