Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
スプライソソームは核内でpre-mRNAからイントロンを正確に切り出し、エキソンを連結してタンパク質を直接コードする成熟したmRNAを生じるスプライシング反応を担う。スプライソソームは5種類のRNAと多数のタンパク質からなり、リボソームと同様に核酸-タンパク質超分子複合体である。スプライシング反応はこれらのRNA-タンパク質複合体(snRNP)といくつかのnon-snRNPタンパク質の会合と解離によって進む。このように、スプライソソームは構造構築の複雑さと動的性質が大きいため、その構造生物学的研究は非常に困難なものとなっている。本研究では、スプライシング反応において中心的な役割を果たしていると考えられているU2 snRNPを中心として、X線結晶構造解析の手法を用いた構造生物学的研究による原子レベルでのスプライシング機構の解明を目的とする。平成19年度はU2 snRNP構成タンパク質に加えて、スプライシングの過程で生じる投げ縄状イントロンを加水分解するイントロンRNAの代謝に必須な因子RNA debranching酵素(DBR)も研究対象に含め、mRNAスプライシング機構のより深い理解を得るために構造生物学的研究を推し進めた。DBRは枝分かれしたRNAの2'→5'リン酸ジエステル結合に対してのみ切断活性を示す非常に珍しい酵素であることから、そのユニークな反応機構の解明を目指した構造生物学的研究が20年以上に渡って行われているにも関わらず、いまだ結晶構造は得られていない。DBRの基質特異性および反応機構を知ることは酵素学的のみならず、イントロンRNAの代謝サイクルを理解するうえでも非常に重要である。現在までに、スプライソソームを主な研究対象としてスプラシシング反応に関わるタンパク質の構造-機能相関の解明を目指して、7つのタンパク質の大量発現と精製系を確立することができている。
All 2008
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
PROTEINS: Structure, Function, and Bioinformatics 71
Pages: 519-523