陸上移動運動におけるヒトの機能的潜在性:free-ride現象に着目して
Project/Area Number |
17770217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生理人類学
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
安陪 大治郎 University of East Asia, 人間科学部, 講師 (10368821)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 歩行 / ウォーキング / ランニング / 重量物 / free-ride / 経済速度 / 弾性エネルギー / 至適速度 / 運搬 |
Research Abstract |
本年度は昨年の研究実績を踏まえて、ランニングにおけるfree-rideの有無について検討した。重量負荷ランニングでは、重量負荷が身体重心周りの回転トルクを発生させるだけでなく、主働筋における弾性エネルギーの再利用を促進する効果を持っている。このことから、本研究では重量負荷ランニングに路面傾斜条件を付け加えることによって、身体重心周りの回転トルクと弾性エネルギーの再利用がそれぞれどのようにランニングのエネルギーコストに影響を及ぼすか検討した。 本実験では、体重の4%に相当する重量物を背中上部に固定し、「平地走」、「5%登り走」、「5%下り走」の3条件を設定した。また、外側広筋から筋電図を導出し、Abe et al. (2007)に基づいて主働筋における弾性エネルギーの評価を行った。対象者は男子陸上選手およびサッカー選手8名であった。走速度は被験者の体力的要素を考慮して190-200m/minとした。各条件における走行時間は5分間とし、酸素摂取量に定常が見込める後半2分間の平均酸素摂取量(VO_2;ml/kg/min)を走速度(ν;m/min)で除すことによって、距離あたりのエネルギーコスト(C; ml/kg/meter)を算出した。また、重量物によって得られる「身体重心周りの回転トルク」を算出した。得られた結果は次の通りであった。 1)下り走および平地走においてfree-rideが観察された。 2)弾性エネルギーは、C_r値と有意な負の相関関係を示した。 3)身体重心周りの回転トルクとC_r値には有意な相関関係がみられなかった。 これらの結果から、ランニングにおいて観察されたfree-ride現象のメカニズムについては、重心周りの回転トルクではなく、弾性エネルギーの再利用に起因することが示唆された。これは歩行におけるfree-ride発生のメカニズムとは異なっていた。しかしながら、本研究で用いた重量負荷は体重の約4%であり、先行研究に比べると幾分軽いものであったことから、自ずと発生トルク自体が小さかったことは充分考慮しておくべきであろう。また、ラシュング中の弾性エネルギー獲得量が、何らかのトレーニングによって増大するとすれば、多くのスポーツアスリートにとって有用な情報となる。したがって、重量負荷を用いたトレーニングによって、弾性エネルギー獲得量がどのように変化するのかについて検討することが今後の課題であると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)