Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究は,根の細胞壁の成分とダイズの耐塩性との関係を明らかにすることを目的とした。平成17年度における研究により,根の細胞壁のペクチン量がダイズ品種の耐塩性程度と関係していることを明らかにした。そこで平成18年度は,ペクチンの構成に重要な役割を果たしているカルシウムを培地に添加した場合,ダイズの耐塩性にどのような影響を与えるかについて調査した。 植物材料として,ダイズの耐塩性品種であるDareおよび塩感受性品種である東山69号を用い,異なるNaCl濃度条件下(0,40,80mM)で栽培し,CaCl_2(0.0,0.5,1.0mM)を水耕液に添加した。耐塩性の指標として,根の伸長を用いた。60時間後の測定の結果,塩ストレス耐性の程度にかかわらず,CaCl_2添加処理個体では無添加個体に比べて,根端部のペクチン量および細胞壁のカルシウムイオン量が有意に増加することが明らかとなった。また,この増加程度は塩感受性品種よりも耐塩性品種のほうが大きかった。 カルシウムイオンは,植物体内におけるナトリウムイオン害を軽減することがよく知られている。その理由について,これまでは主に細胞膜および細胞内におけるカルシウムの作用により説明されてきた。しかし本研究では,カルシウム添加が根の細胞壁のペクチン量に影響することを明らかにした。ペクチン量は細胞伸長に影響を与えることから,カルシウムは細胞壁においてもペクチンの増減を通じて,植物の耐塩性に影響すると推測される。また,細胞壁におけるカルシウムイオンの増加は,生体の電気化学ポテンシャル(Electro-chemical Potential)の変化を生じさせ,ナトリウムイオンの細胞壁への進入/貫通を阻害することも考えられる。 本年度の研究の結果,根の細胞壁の成分,特にペクチンの含有量,およびペクチンの含有量に影響する要素(カルシウムイオン)は,ダイズの根の伸長と密接な関係があることが示唆された。
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