Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
バラ科サクラ属果樹の多くは配偶体型自家不和合性を示し,このことが栽培・育種上の大きな問題となっている.バラ科の配偶体型自家不和合性はS遺伝子座と呼ばれる単一の複対立遺伝子によって支配されており,その遺伝子座に座上する2つの因子(花粉側因子,花柱側因子)の相互作用により自己花粉を認識し,花粉管伸長を阻害している.花柱側因子はS-RNaseと呼ばれるリボヌクレアーゼ活性をもった糖タンパク質であることが既に明らかとされており,様々な配偶体型自家不和合性を示す植物種で同定・単離されている.近年,これまで同定されていなかった5遺伝子座の花粉側因子の有力な候補としてSFB遺伝子(S haplotype-specific F-box protein)がオウトウやウメで同定・単離された.本年は,PCRによりニホンナシ8品種から計16種類のSFB様配列を得た.これらの推定アミノ酸配列はSFB様配列間で65〜97%,Sassaら(2007)の単離したニホンナシのSFBB(SFB brothers)とは58〜71%,リンゴのSFBBとは63〜84%の相同性を示した.これら16個の配列は全て異なっており,供詩した品種のSハプロタイプが計7種類(S^1〜S^7)であることから,少なくとも9種類以上は花粉側因子であるSFB遺伝子とは異なる遺伝子由来のものであると考えられる.このことから,ニホンナシのゲノム中にはSFB遺伝子と非常に相同性の高いSFB様遺伝子が多コピー存在し,その配列はかなりの多様性をもつことが示唆される.今後は,これらSFB様遺伝子の発現やSハプロタイプ特異性,配列の品種間差異についてさらに調査を進める予定である.
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