Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
多くの抗ガン剤が癌細胞にアポトーシスを誘導することが知られているおり、アポトーシス誘導物質には抗癌作用があると期待される。これまでに、緑茶の主要なカテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCG)のアポトーシス誘導活性およびそのシグナル伝達を明らかにした。このEGCGによるアポトーシス誘導は白血病U937細胞においてEGCG結合タンパク質であるフィブロネクチンおよびその分解物によって阻害される。そこでEGCG結合カラムを用いてEGCGと結合することが明らかとなったフィブロネクチンおよびヒスチジンリッチ糖タンパク(HRG)をリジルエンドペプチダーゼによって分解し、マルチプルアライメントすることにより、フィブロネクチンのEGCG結合アミノ酸配列を絞り込んだ。この配列はフィブロネクチンの14番目のIII型リピート内にあるインテグリン機能調節部位に相当し、このドメインのみを293細胞に発現させると、その細胞破砕液はEGCGカラムに結合することが明らかとなった。同様にEGCGの結合が報告されているラミニンレセプター(67LR)においてもEGCG結合配列が予測され、293細胞に発現させた67LRのEGCG結合配列欠失変異体はEGCGカラムに対する結合が抑えられた。以上のように、EGCG結合アミノ酸配列が予測され、その欠失変異体ではEGCGに対する結合が抑えられることから、EGCGとその受容体を介した抗ガン作用のメカニズムを解明する上で重要な情報が得られた。