山地物林斜面での地中の水の流れが樹種構成や樹木の成長に及ぼす影響
Project/Area Number |
17780117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
林学・森林工学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 友子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (80376566)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 森林斜面 / 降雨-流出プロセス / 常緑広葉樹林 / スギ幼齡林 / 伊豆半島 / 房総半島 / 土壌層 / 二次林 |
Research Abstract |
森林斜面において、水は樹木の生存に必須であるだけでなく、土壌中の養分移動や微生物による分解過程においても重要な役割を果たすため、その分布は樹木の種構成や生育に大きく影響を与えると考えられてきた。これまでの斜面水文研究により、斜面の内部、特に土壌層中の水の分布と移動にっいて多くの知見が得られてきたが、これらの斜面水文研究から得られた結果と地上部の樹種構成や成長の関係を同時に把握し、明らかにした研究例は少ない。そこで、本研究では森林斜面に沿った詳細な水文観測、植生調査、土壌の理化学性の調査等を行い、また最新の斜面水文研究の成果に基づいて斜面中の水の流れと樹木の種構成や成長の関係を明らかにすることを目的としている。 本年度は、過去の研究レビューを行うと同時に、昨年に引き続き現地調査を行った。東京大学農学生命科学研究科附属樹芸研究所青野研究林(伊豆半島南部)の長期生態系観測プロット内の斜面は、1955年に炭焼き林として伐採された後に成立したスダジイの優先する照葉樹林からなる。千葉演習林袋山沢試験流域B流域内の斜面(房総半島南部)は、1999年に皆伐、2000年にスギが約3000本/haの密度で植栽された。これら2つの調査地は、気候や地質、地形の条件は類似しているが、森林の利用履歴、現在の樹種組成は大きく異なっている。 これまでの調査の結果、炭焼き林として利用された後に成立した二次林においては、土壌の堆積含水率が高く、雨期には地下水位も発生し、水分条件が頂部斜面に比べて良い谷頭凹地では、立木密度や胸高断面積合計が小さく、水分の空間分布が樹木の生育や空間分布に与える影響は小さいと考えられる。この斜面では、樹木の生育には水分以外の要因、光環境や土壌の侵食・堆積などの地形形成プロセスなどが大きく影響を与えている可能性が高い。一方で、皆伐後一斉に植栽されたスギの幼齢林では、地下水位の発生頻度が高く、水分状態の良い斜面部位では、スギの樹高が高く、胸高直径も大きいことから、水分の分布がスギの生育に大きな影響を与えていることが示唆された。以上の結果、斜面における水分の分布が樹木に与える影響は、森林成立の履歴や樹種によって異なることが示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)