Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
森林施業を考慮した窒素循環機構の時空間的な変動を把握するための基礎的知見として,本研究では約80年輪伐により管理されているスギ人工林を対象に,林齢と地形(斜面上の位置)が土壌の窒素動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 京都大学フィールド科学教育研究センター和歌山研究林近郊のスギ人工林を調査地とし,調査地内の植裁後6年,16年,31年,42年,および90年の5林分を調査対象とした.調査対象林分の右岸斜面において,斜面に沿った尾根部から谷部まで等間隔に5つの土壌採取位置を設定し,それぞれの土壌採取位置で等高線方向に2m間隔で決定した5つの土壌採取地点から2005年7月に土壌を採取した.採取した土壌試料数は各林分で25サンプル,合計125サンプルである.本年度も採取した土壌の分析を継続し,これまでに実験室培養による窒素形態変化特性,全炭素・全窒素濃度,pH,および有効態リン酸濃度を分析・測定した。その結果,窒素の形態変化特性には林齢による変動も地形による変動もみられたが、その他の土壌特性値は主に地形による変動を示した.また,調査地に埋設したイオン交換樹脂を回収し,吸着された無機態窒素を分析した結果,斜面の下部では土壌中の無機態移動量が林齢によって大きな差がなかったが,斜面の上部では30年生以降の林分でやや多い傾向があった.窒素安定同位体を用いた総窒素形態変化特性と土壌中の溶存有機物については現在も分析を継続しており,今後これらの結果を総合して皆伐一斉造林施業にともなう土壌窒素動態の時空間的変動とその決定要因についてさらに考察を深める.
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