Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
前年度までの調査により,有明海におけるスズキは,以下のような生態特性を持つことが明らかとなった.1)熊本県沖で産出されたのち,ふ化仔魚は約50-80日の浮遊生活期を有明海奥部で過ごす.2)有明海最奥部に位置する筑後川河口域に体長約15mm以上のスズキ仔稚魚が3月下旬を盛期として遡上し,河口から10-15km上流の低塩分水域に形成される高濁度水塊を成育場とする.3)高濁度な成育場は被食シェルターとしての機能を持つ.平成19年度には高濁度水塊への加入直後の減耗要因を解明することを目的として,複数年(1990-2000年)のデータを用いて河口環境と仔稚魚の生残率の経年変動を解析した.耳石日周輪を応用してスズキ仔稚魚のふ化日および日齢を推定し,現存する仔稚魚の日齢組成を構築した.日齢ごとの分布密度の減少過程から各年における河口域高濁度水塊周辺の成育場でのスズキ仔稚魚の死亡係数を算出した.併せて,体長-体重関係,日齢体長関係にもとづいてスズキ仔稚魚の重量成長係数を算出した.胃内容物調査により仔稚魚の体重あたりの胃内容物重量(摂餌指数)を算出し,物理環境,餌料生物密後,成長・死亡係数,個体密度との関連を解析した. スズキ仔稚魚の加入密度は約50倍の変動を示した.仔稚魚の成長係数,死亡係数,摂餌指数はいずれも仔稚魚の加入密度に最も強い影響を受けた.以上のことから,河口域高濁度水塊への加入後のスズキ仔稚魚の生残を規定する要因としてスズキ仔稚魚自身の加入密度が重要であると結論づけられた.
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