Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
1)マングローブ・キリフィッシュの雄と雌雄同体との交配実験 昨年度の成果で,高成長多産系統と低成長少産系統について,初期発生期の水温変化による雌雄同体と雄の性比のコントロールが可能になった。 得られた供試魚を用いて,高成長多産系統と低成長少産系統の同系統間および異系統間で,雌雄同体と雄のペアを実験水槽内で作り,繁殖行動の有無と受精卵が得られるかどうかを検討した。10例以上のペアでの観察を実施したが,攻撃行動は見られても繁殖行動は起こらなかった。 そこで,人工受精を実施した。人工授精に用いる精子懸濁液は,一次雄を解剖し,精巣を摘出した後,海水またはリンガー液中で破砕し作製した。次に,他株の雌雄同体魚を解剖し,生殖腺内の卵巣から摘出した卵に媒精させた。 2)交配の確認と遺伝的変異の検索 昨年度の成果から,AFLP法によって,高成長多産系統と低成長少産系統のそれぞれに特異的な遺伝子マーカーを特定することが出来た。 交雑を確認するためにDNAマーカーを用い,ふ化個体(F1)の遺伝子多型を調べた。交雑が確認された個体の次世代の個体(F2)並びに対照としてPAN-RS株とDAN株を30日間飼育し,これらの個体の成長を比較した。異なる株間の人工受精を31回実施し,合計13個体のふ化仔魚を得た。 このうち,1個体がPAN-RS株とDAN株の双方のDNAマーカーを有していたことから,交雑していると判断し,PDHy株と名付けた。PDHy株(F2)30日令の体長(平均値±標準偏差=11.9±0.7mm)は,PAN-RS株(12.6±0.6mm)とDAN株(10.7±0.9mm)の中間を示した。本研究の結果より,クローン個体群をつくるマングローブ・キリフィッシュの株間では交雑が起こり,天然域の環境変動に適応するための生活史戦略をとっていると推定された。 これらの成果を公表するために,現在投稿論文として取り纏めている。
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