Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
わが国の農業は,アジアモンスーン地域としての風土の影響を受けながら固有の性格を与えられているが,それは水田中心の農業の展開や農業水利のあり方といった側面にも表れている。こうした風土の違いによって,農業や農業水利のあり方は違いを見せることになる。 国内に関する研究としては,農村地域資源としての農業水利の管理のあり方について,岩手県内の「アドプト協定」ならびに「農地・水・農村環境保全活動支援」に着目し,地域資源管理制度の展開方向を調査・検討した。日本においては,農業水利制度の変化にドライブカを与える要素として,財政,農村人口構成,農業生産動向などが大きいといえる。 一方,海外研究については,オーストラリアを中心に,水利改革下における水利制度(農業水利制度を含む)の展開方向と水利市場の実態について調査・検討した。同国において,農業水利制度の変化にドライブカを与える要素としては,天候リスク,都市住民の水利用や環境に対する意識などが大きいといえる。 以上の調査・検討結果を踏まえて,日本と外国(特にオーストラリア)と間で農業水利制度の比較を行うと,制度の形成あるいは進化を規定する要因は対照的であることが明らかとなった。すなわち,農業水利主体と諸要因との関係を見ると,日本は農業部門がもたらす内部的要因が強く規定しているのに対して,オーストラリアでは農業部門がコントロールできない外部的要因が強く規定している。オーストラリアでの制度変化のスピードが速くかつドラスティックであるのは,こうした違いを反映しているとも考えられる 日本ではこのほど「農業水利基本問題検討委員会」が国レベルで設置され,地域用水の水利権,河川の正常流量と農業水利,渇水時の水利調整のあり方,気候変動への適切な対応,国際水着論への適切な対応について検討されようとしており,本研究の制度論・実態論的成果はそれに貢献できよう。
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