Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
我々はこれまでに、日本脳炎ウイルス(JEV)のコア蛋白質がヌクレオキャプシド形成に関与するだけでなく、一部が核へ移行してJEVが哺乳動物細胞で複製するために重要な役割を演じていることを報告した。また、感染細胞にはウイルス粒子に取り込まれる成熟型コア蛋白質よりも小さなコア蛋白質が検出されることを明らかにした。今回、感染細胞に検出される低分子量コア蛋白質の産生機構を解析した。JEVコア蛋白質のプロセシングに関与する宿主由来酵素を同定するため、JEVの感染細胞とコア蛋白質発現細胞における、蛋白質分解酵素に対する阻害剤やsiRNAの影響を検討した。また、精製コア蛋白質の蛋白質分解酵素によるin vitroでの切断を確認した。さらに、低分子量コア蛋白質の一次構造を検討するため、種々の変異を導入したコア蛋白質を作製した。低分子量コア蛋白質の産生は、システインプロテアーゼ阻害剤(E-64d)、カテプシンL特異阻害剤{Z-FY(t-Bu)-DMK}の添加やカテプシンLに対するsiRNAの導入によって顕著に抑制された。また、カテプシンLの過剰発現によって、低分子量コア蛋白質の産生が促進された。さらに、コア蛋白質は精製カテプシンLによってinvitroで切断されたが、精製カテプシンBでは切断されなかった。また、両末端にエピトープタグを導入したコア蛋白質を発現させると、C末端エピトープによって低分子量コア蛋白質は検出されたが、N末端エピトープでは検出されなかった。さらに、コア蛋白質の17、18および19位のアミノ酸がこのプロセッシングに重要であった。JEV感染細胞において、カテプシンLがコア蛋白質のN末端近傍を切断することが示唆された。JEVコア蛋白質がカテプシンLによってプロセスされる生物学的意義は現在のところ不明であるが、コア蛋白質の多彩な機能を制御している可能性がある。
All 2006 Other
All Journal Article (3 results)
Journal of Virology 80
Pages: 11265-11273
Proceedings of the National Academy of Sciences 50
Pages: 225-234
Microbiology and Immunology (in press)