Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
前年度に引き続きhsp105プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結したコンストラクトを安定に発現するC3H10T1/2細胞を用いてHsp発現誘導物質の探索を試みた。今年度は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)以外の物質についても検討するため、数種の天然物抽出物についてHspの誘導性を検討した結果、Hsp発現誘導物質の発見には至らなかったが、逆に熱ショックによるHspの発現誘導を抑制する物質として牛蒡子抽出物中のArctigeninを見出した。Hsp105がATP枯渇状態においてタンパク質の変性や細胞死を抑制することから、Hsp105が細胞内においてどのようなタンパク質をターゲットとして変性を抑制するのか明らかにするために、前年度に引き続き細胞タンパク質をTriton X-100可溶性画分と不溶性画分に分け、ATP枯渇によりTriton X-100に対する溶解性が変化するタンパク質を検索した。前年度はSDS-PAGEによる分離を試みたが、候補タンパク質の分離が不完全にあったため同定に至らなかったため、今年度は等電点および分子量で分離する2次元電気泳動により検討したところ、ATP枯渇によりTriton X-100可溶性画分から消失する分子量約30kDa、等電点6付近のスポットがHsp105の高発現により減少が抑制された。現在、このスポットについてトリプシン消化後、MALDI-TOS-MSを用いたペプチドマスフィンガープリンティングにより同定を試みている。また、ATP枯渇状態による細胞死がアポトーシスにより生じており、Hsp105の高発現はHsp70同様ATP枯渇状態によるアポトーシスを抑制することが明らかになっていたが、今年度はHsp105のATP枯渇状態によるアポトーシスの抑制機構を明らかにするため、caspaseの活性について検討したところ、ATP枯渇によりcaspase-3、caspase-8、caspase-9の活性化が確認されたが、Hsp105の高発現はcaspase-9の活性化には影響を与えず、aspase-3およびcaspase-8の活性化を抑制した。これらの結果はHsp105はATP枯渇により誘導されるアポトーシスのうち、ミトコンドリア非依存的な部分を抑制していることを示唆しており、今後さらに検討する必要がある。
All 2008 2007 2006
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)
Experimental Cell Research 313
Pages: 3707-3717
Biochemical and Biophysical Research Communications 350
Pages: 131-137