Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的はTMXの機能異常を引き起こすことが示唆されているTMX結合化合物FRが具体的にどのようなメカニズムで作用するのかを明らかにすることである。そのためにTMXと結合するものの機能異常は引き起こさない化合物としてPAOをコントロールとしてnative・FR複合体・PAO複合体それぞれの立体構造上の差異からメカニズムを推論する方法を選んだ。よって本研究では結晶化を行うための十分な品質・量の精製TMXを得ることが第一段階の実験であった。昨年度までは品質的には十分と予想されるサンプルが得られたが量的に不十分であり結晶化条件の本格的なスクリーニングを行うことが出来なかった。本年度は発現するTMXの領域を変更して大量生産系の構築を目指した。発現に用いる大腸菌種・発現誘導タイミング・培養温度をパラメーターとして詳細に発現条件の検討を行った。しかしながら結晶化条件スクリーニングに必要なミリグラムオーダーのTMXを得るにはいたらなかった。次にこれまで用いてきたGST融合発現系ではなくより分子量の大きいMBPとの融合で発現系を構築し発現条件の検討を行った。するとリッター当たり2mgの精製TMXを得ることに成功した。得られたサンプルを用いてHAMPTON Crysta1 Screen I/II、 Emerald Bio Systems Wizard I/II/IIIを用いて結晶化条件のスクリーニングを行ったが結晶を得るにはいたらなかった。現状ではTMXサンプルの精製度や安定性に問題があることが示唆されるため、今後スクリーニングを継続するにあたってはMBPを用いたアフィニティー精製に加えて陰イオン交換クロマトグラフィー等の精製段階を追加することや動的光散乱の測定を通じてTMXがより安定なバッファー条件の検討が必要であると考えられる。