がん細胞の足場非依存性増殖におけるSrc型キナーゼの新規シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
17790220
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Pathological medical chemistry
|
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
上北 尚正 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 細胞増殖因子研究部, 研究員 (50373402)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 足場非依存性増殖 / アノイキス / Src型キナーゼ / PKCδ / シグナル伝達 / がんの浸潤・転移 |
Research Abstract |
アノイキスは細胞外基質との結合により生じる細胞の生存シグナルを欠く事によって引き起こされるプログラム細胞死(アポトーシス)の一形態である。がん細胞はこのアノイキスに抵抗性を示し、足場非依存性増殖を獲得する。この獲得能にはSrc型キナーゼが重要な役割を担っている事が報告されているが、Src型キナーゼによるアノイキス制御を含んだシグナル伝達については明らかになっていない。 前年度、Src型キナーゼに結合するリン酸化タンパク質、CUB-domain containing protein 1(CDCP1)を同定し、浮遊培養ではCDCP1の発現とリン酸化が増大する事、CDCP1の発現抑制は、足場非依存性増殖を抑制する事、実験動物を用いたin vivoでの肺転移を抑制する事を報告し、さらに、CDCP1の発現抑制は浮遊培養した肺がん細胞のアポトーシスを誘導するが、細胞増殖には影響を与えない事を報告した。 今回、Src型キナーゼによりリン酸化されたCDCP1を介して結合が報告されているPKCδが、リン酸化される事をSrc型キナーゼ阻害剤PP2とCDCP1発現の抑制により示し、またPKCδが肺がん細胞株のアポトーシス抑制に働いている事をPKCδのsiRNAによる発現抑制により明らかにした。さらに、足場非依存性増殖の弱い肺がん細胞株にCDCP1とSrc型キナーゼを発現させ、CDCP1をリン酸化させると、強い足場非依存性増殖能を獲得し、その時PKCδは優位にリン酸化している事が判明した。 以上の事から、CDCP1はがん細胞におけるアノイキス抵抗性に関与する因子であり、それはSrc型キナーゼによるリン酸化によって制御される事、また下流にはPKCδを介した新規のリン酸化シグナルが存在する事も示唆された。これらは、がん細胞のアノイキス抵抗性のシグナル伝達に関する新しい知見を示すものである。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)