Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
Toll-like receptor(TLR)は様々な病原体の構成成分を認識し自然免疫応答を誘導する。TLRファミリーのうち、TLR5は鞭毛の構成タンパクであるフラジェリンを認識することがin vitroの解析により示された。しかしながら、生体におけるTLR5の役割はいまだ十分に解析されていなかった。我々はTLR5KOマウスを作製しin vivoにおけるTLR5の役割を検討した。まず我々はフラジェリンをTLR5欠損マウスに投与し、血中の炎症性サイトカイン産生が完全に消失していることを確認した。これによりフラジェリンがTLR5の真のリガンドであることが分かった。しかしながら、in vivoでフラジェリンを投与した際にどのような細胞群がこの炎症性サイトカインの産生に関わるかは不明であった。他のTLRファミリーメンバーと異なり、TLR5はマクロファージや、脾臓やGM-CSFで誘導した樹状細胞には発現していなかった。そこで、様々な臓器におけるTLR5の発現をしらべたところ、小腸において高発現していることが分かった。過去の報告に従い、まず腸管上皮(IECs)におけるTLR5の役割を検討した。予想に反してIECsはフラジェリンに対して炎症性サイトカインも誘導しなかった。TLR5のIECsにおける発現は小腸全体におけるTLR5の発現よりもはるかに低かった。小腸から様々な細胞を単離しTLR5の発現量を検討したところ、CDl1c+腸管粘膜固有層の細胞(LPCs)にTLR5が特異的に発現していることが明らかになった。CDl1c^+LPCsはフラジェリンに対して炎症性サイトカインを産生した。CDl1c^+LPCsはTLR5を介して病原性の有鞭毛細菌を感知し炎症反応を誘導することが明らかになった。脾臓の樹状細胞とは異なり、CDl1c^+LPCsはTLR4を発現していなかった。腸管内の常在菌はグラム陰性菌が多いが、TLR4を発現してないことが常在菌に対する過剰な反応を起こさないことに寄与していることが考えられた。TLR5は有鞭毛細菌に対して免疫応答を誘導したので、TLR5KOマウスにおいてSalmonella typhimuriumの経口投与を行い、感染におけるTLR5の役割を検討した。予想に反してTLR5KOマウスはS.typhimuriumの経口感染に抵抗性であった。粘膜固有層から腸間膜リンパ節へのS.typhimuriumの輸送が障害されおり、感染4日後の脾臓や肝臓での菌量も著名に少なかった。S.typhimuriumは細胞内寄生菌であり、遊走するマクロファージや樹状細胞などに寄生してリンパ節や他の臓器で感染を拡大していく。鞭毛を持つS.typhimuriumはTLR5を介してCDl1c^+LPCsを活性化させ腸間膜リンパ節へ移動させ、2次感染巣を形成させていることが示唆された。以上の結果より、CD1c^+LPCs上のTLR5は鞭毛を持つ細菌の認識を行うが、細胞内寄生菌のS.typhimuriumには感染の拡大に逆に利用されていることが分かった。 以上の結果は、研究期間内に得られ、その成果は学術雑誌に報告し掲載された1)。 1)Uematsu S, Jang MH, Chevrier N, Guo Z, Kumagai Y, Yamamoto M, Kato H, Sougawa N, Matsui E, Kuwata H, Hemmi H, Coban C, Kawai T, Ishii KJ, Takeuchi O, Miyasaka M, Takeda K, Akira S. Detection of pathogenic intestinal bacteria by Toll-like receptor 5 on intestinal CDl1c+lamina propria cells. Nat Immunol. 2006 Au9;7(8):868-74.
|